水分補給に適している飲み物と適していない飲み物
外出も危険なほどの暑い日が続いています。汗をたくさんかく夏場は気づかないうちに脱水症状になっていることもあるので、こまめに水分補給が必要です。みなさんは何で水分を摂っているでしょうか?
今回は、水分補給に適している飲み物・適さない飲み物ついてご紹介します。
水だけの水分補給はダメ?
水分補給はしっかりしています、という方も要注意。水分を摂っていても熱中症になってしまうことがあります。
水だけ飲んでいても、汗で失った水分と電解質の補給はできません。
水だけを飲むと血液のナトリウム濃度が薄くなるため、これ以上ナトリウム濃度を下げないために水を飲む気がなくなるといわれます。それと同時に余分な水分を尿として排泄し、体液が不足してしまうのです。
水分吸収の過程には、糖分(ブドウ糖)も関係しているため、水分だけでなく、ナトリウムや糖分を含む飲料を飲むことで、腸管内での水分吸収スピードを速め、効率的に水分補給することができます。
脱水症の予防のために、水分補給するときには、水やお茶ではなく、水分・塩分・糖分が最適バランスに配合された、経口補水液やスポーツドリンクを飲むのがおすすめです。
経口補水液とスポーツドリンクの違い
経口補水液とスポーツドリンクは一体何が違うのでしょうか。
以下にそれぞれの特徴を記載します。
【経口補水液】
・身体から失われた体液(水分、電解質、非電解質)を経口的に補うため、水に塩分と糖分を一定の割合で配合した飲料。
・体液とほぼ同じ浸透圧のため吸収率、吸収速度が速い。
・下痢、嘔吐時による脱水時の水分補給に適している。
・スポーツドリンクに比べ糖分が少なく、塩分が多い。
・別名「飲む点滴」
【スポーツドリンク】
・運動や日常生活での発汗によって身体から失われた体液を効率よく補給できる清涼飲料水。
・浸透圧を下げ、胃腸への負担を軽減しながら吸収速度を上げる。
・経口補水液に比べ塩分が少なく、糖分が多い。
経口補水液は、塩分が多いため、大量に飲むと塩分の過剰摂取に繋がります。腎臓や心臓に疾患をお持ちの方は特に注意が必要です。
一方、スポーツドリンクは、糖分が多い点と、体液バランスを維持するためには、塩分量が不十分である点に気をつけて。500mlペットボトル1本で砂糖に換算すると30gの糖分(角砂糖約10個分)を含んでいますので、がぶ飲みは要注意。肥満や虫歯に繋がる危険性があります。
どちらも、必要な状況で適量飲むことが大切です。
水分補給に適さない飲み物とは
夏の暑い時期に、水分補給として避けたい飲み物があります。
アルコール、ジュース、コーヒーです。
【アルコール】
アルコールには利尿作用があり、水分補給に適していません。ビールを10本飲むと11本分の尿が出るといったように、通常よりも尿の量が増えてしまいます。暑い時期にアルコールを飲む場合は、脱水症状を防ぐために、水を一緒に摂ることをお忘れなく。
【ジュース】
ジュースや清涼飲料水には糖質が多く含まれており、カロリーの摂り過ぎにつながる場合があるため、水分補給として飲むのはオススメできません。ジュースは間食と同様に、摂り過ぎに気を付ける必要があります。一日に摂ってよい間食の目安である200kcalを基準に、500mlの炭酸飲料であれば1本程度が目安です。
【コーヒー】
コーヒーは、カフェインが含まれているため、水分補給に適していません。カフェインの利尿作用によって尿の排出量が増え、体内から水分が失われるおそれがあります。コーヒーのカフェイン含有量は100mlあたり60mgで、大量に飲むとカフェインの過剰摂取にも繋がります。
それぞれ、上記の理由で水分補給として飲用するのはオススメしません。大量に汗をかいている際に飲むときは、注意点を意識してご利用くださいね。
熱中症、子供は特に要注意!
通常、気温は150㎝の高さで測ります。しかし、子供の身長は150㎝より低い場合がほとんど。
例えば、東京都で気温が32.3℃だったときに、幼児の身長である50㎝の高さでは、35℃を超えていたそうです。
大人が暑いと感じているときには、子供はそれ以上の暑さの中にいるという事です。このような環境に長時間いると、汗を大量にかき、便秘の原因になるだけではなく、熱中症の危険もあります。夏場の外出時には、お子さんの水分摂取に特に注意が必要です。
喉の渇きは脱水が始まっている証拠です。渇きを感じる前に水分を摂ることがポイントです。
特に小さなお子さんや高齢者は脱水のリスクが高いためこまめな水分摂取を心がけてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
椙山女学園大学卒業後、食品原料商社にて様々な食品原料の開発に携わる。現在は、フリーランス管理栄養士として年間500人以上に栄養指導、食品添加物セミナー、企業のコラムなどを執筆。また、マクロビ・薬膳・自然療法・望診を学び、西洋・東洋の面から見た、病気にならない体づくりを研究中。
《保有資格》
管理栄養士 / 管理薬膳師 / 上級望診指導士