【モリンガの栄養】モリンガに含まれる グルコモリンギン とは?
葉・茎・根・種・花全てを利用することができ、栄養価の高さからも『奇跡の木』と呼ばれているモリンガ。
今回は、高い生理機能を持ったモリンガの種に含まれるグルコモリンギンについて紹介します。
モリンガ種子に多く含まれる グルコモリンギン について
グルコモリンギンとは、モリンガの種から抽出される成分で、グルコシノレートというカラシナやキャベツ、ワサビなどの辛味をもつアブラナ目の多くに含まれる成分です。
ブロッコリー、キャベツ、大根、わさび、カラシナなどのアブラナ科の野菜は、すりおろしたりかんだりすると辛味成分が生まれます。
この辛味成分がグルコシノレートと呼ばれ、例えば、ブロッコリーでは『スルフォラファン』、わさびでは『イソチオシアネート』、モリンガでは『グルコモリンギン』など色々な成分があります。
モリンガも別名『ワサビの木』とも言われていますが、モリンガの葉を溶かした水を飲むと辛味を感じます。
このグルコシノレートを含む野菜は、デザイナーフーズ・プログラムの中でも上位に挙げられています。
アメリカの研究所が、病気を“治療”でなく食事・食習慣の改善で“予防”しようという取り組みを進めており、「食習慣の改善の可能性がある食品」をリスト化したものをデザイナーフーズ・プログラムと呼んでいます。これには野菜・くだもの・ハーブなどの食品群40種類ほどがあげられ、グルコシノレート類を含む、ブロッコリー、カリフラワー、キャベツ、芽キャベツはその中でも重要性の度合いが高いとされています。
モリンガはデザイナーズフーズプログラムには記載されていませんが、同じグルコノシレートとして高い生理機能が期待されます。
グルコモリンギン の抗疲労効果について
最新の研究結果では、『グルコモリンギン』が日常の疲れや腰の不安感を和らげる効果があると発表されています。
日常の疲れを軽減する効果を検証する実験は、日常において身体疲労を有する健康な被験者各群20名に、モリンガ種子エキス(機能性関与成分グルコモリンギンとして12㎎含有)タブレット、もしくはプラセボタブレットを4週間継続して摂取するものでした。
摂取前後で疲労感・不定愁訴(肩こり・腰痛眼精疲労)の評価を行ったところ、日常生活で疲れを感じやすい方の身体的な疲労感を軽減されたと報告されています。
(掲載論文;診療と新薬 2019; 56: 606-613 Impact of Moringa Seed Extract on Daily Fatigue and Low Back Pain:A Randomized, Parallel, Double-Blind, and Placebo-Controlled Study)
グルコモリンギン の運動パフォーマンス増加効果について
また、『グルコモリンギン』が運動のパフォーマンスをアップする効果もあると報告されています。
マウスにモリンガ種子エキスを摂取させる前と摂取してから4週間後でどれほどの遊泳時間の差があるかをみる実験を行った論文が発表されています。
その結果、水と比較して、2mg/kgで増加傾向、100mg/kgで有意な水泳時間の増加が確認されました。
モリンガ種子に多く含まれるグルコモリンギン。
日頃の疲れが気になる方にはとても有効な成分ではないでしょうか。また、運動パフォーマンスが上がり、さらには持久力向上にも繋がる可能性がありますので、スポーツをする人にとっては注目の素材です。
モリンガの種についてもっと知りたい方はこちらのコラムをご覧ください。
著者プロフィール
椙山女学園大学卒業後、食品原料商社にて様々な食品原料の開発に携わる。現在は、フリーランス管理栄養士として年間500人以上に栄養指導、食品添加物セミナー、企業のコラムなどを執筆。また、マクロビ・薬膳・自然療法・望診を学び、西洋・東洋の面から見た、病気にならない体づくりを研究中。
《保有資格》
管理栄養士 / 管理薬膳師 / 上級望診指導士