オートミールに含まれる、水溶性食物繊維のβーグルカンとは?
最近よくスーパーでオートミールを見かけるようになりました。また、オートミールが原料のミルク、オーツミルクも第3のミルクとして話題となっています。
オートミールやオーツミルクの特徴の一つに、βグルカンという水溶性食物繊維が入っている点が挙げられます。
βグルカン、と聞くとなんだか難しく感じますね。一体どのようなものなのでしょうか?
不溶性食物繊維と水溶性食物繊維の特徴
食物繊維には大きく分けて水に溶ける水溶性と水に溶けにくい不溶性の2種類があり、それぞれ違った特徴があります。
不溶性食物繊維
穀類、野菜、豆類、キノコ類に多く含まれ、ボソボソ・ザラザラした食感が特徴です。保水性が高いため、胃や腸で水分を吸収して大きくふくらみ、腸を刺激して蠕動(ぜんどう)運動を活発にし、便通を促進します。
水溶性食物繊維
昆布、わかめ、こんにゃく、里いも、大麦、オーツ麦などに多く含まれ、ネバネバ・サラサラした食感が特徴です。粘着性があるため、胃腸内をゆっくり移動し、お腹がすきにくく、食べすぎを防ぎます。糖質の吸収をゆるやかにして、食後血糖値の急激な上昇を抑える働きがあります。
不溶性・水溶性どちらの食物繊維も、大腸内で発酵・分解されると、ビフィズス菌などが増えて腸内環境がよくなることがわかっています。水溶性食物繊維の方が、より発酵性が高いと言われています。
β-グルカンとは
β-グルカンとは、グルコース(ブドウ糖)がたくさん結合した多糖類の総称で、食物繊維の一種です。β-グルカンはしいたけやまいたけをはじめとするキノコ類やパン酵母などの酵母、それからオーツ麦や大麦に多く含まれています。
β-グルカンは一般的に体を守る働きがあります。同じβ-グルカンでも、食品によって構造がそれぞれ違っているため、有効性も異なってきます。例えば、サルノコシカケやアガリクスなどのキノコ類にもβ-グルカンは含まれます。
オーツ麦β-グルカンの効果
多くの野菜や穀物に含まれる食物繊維は不溶性食物繊維がほとんどですが、オーツ麦に含まれている食物繊維は、水溶性食物繊維のオーツ麦β-グルカンです。
オーツ麦β-グルカンを摂取した効果について、世界中で臨床実験が行われています。一部の研究では、生活習慣に関する課題の研究や、お腹の調子に関する研究などがあります。面白いのが、β-グルカンの物性が満腹感の持続に寄与するという実験も進められているとのことです。
オーツ麦を主原料とするグラノーラを販売しているカルビー株式会社が行った朝食に関する臨床試験の結果では、朝食欠食者が朝食を食べることで、睡眠や精神的QOLへの効果が確認されています。
オートミールに含まれているβ-グルカンの高い有効性は、食生活が乱れがちな自粛生活においてとても心強いですね。食物繊維は、いつの時代においても男女ともに不足している栄養素です。オーツ麦を原料とした食品も、オートミールやオーツミルク、パウダーと様々に展開されてきていて、食事に取り入れやすくなっています。パウダーなどは、スープやドリンクに溶かしたり、小麦粉代わりに使用してお好み焼きなど料理への応用にもしやすいですね。ぜひ、ご自身のライフスタイルに合ったものを取り入れてみてはいかがでしょうか。
■参考文献
・Food and Drug Administration: Code of Federal Regulations, title212, Section101 2012; 81.
・Thies F, Masson LF, Boffetta P, et al: Oats and CVD risk markers: a systematic literature review.
Br J Nutr 2014; 112, S19-S74.
・青江誠一郎,藤田孝,木下さと子 他:オートミール粥の摂取が境界域および軽度高コレステロール血症者の血清コレステロール値に及ぼす影響.栄養学雑誌 2006; 64, 77-86.
著者プロフィール
椙山女学園大学卒業後、食品原料商社にて様々な食品原料の開発に携わる。現在は、フリーランス管理栄養士として年間500人以上に栄養指導、食品添加物セミナー、企業のコラムなどを執筆。また、マクロビ・薬膳・自然療法・望診を学び、西洋・東洋の面から見た、病気にならない体づくりを研究中。
《保有資格》
管理栄養士 / 管理薬膳師 / 上級望診指導士