東洋医学からみた不眠のタイプ別 オススメ食材
夏と秋を行き来するような毎日が続いていますが、暦の上ではすっかり秋。秋分の日を境に日照時間も短くなり、秋の夜長の到来です。
実は秋こそ、夏の疲れを取るためにしっかりと睡眠を取るべきシーズン。
ぐっすり寝れていない、寝ても疲れがとれない・・・睡眠の悩みを、東洋医学からみたタイプ別でチェックしていきたいと思います。
東洋医学から見た不眠とは
ひとくちに「眠れない」といっても、原因や症状は人それぞれ。多くの場合、不眠は、加齢やストレス、環境の変化、不規則な生活習慣など、さまざまな要因が重なって起こります。
代表的なタイプとして、寝つきが悪い「入眠障害」、夜中に目が覚めてしまう「中途覚醒」、早朝に目が覚めてしまう「早朝覚醒」、ぐっすり眠った気がしない「熟眠障害」にわけられます。
東洋医学では、不眠は「気(き)」「血(けつ)」との異常によって起きることが多いと考え、次のように分類しています。
不安感で眠れない:気滞(きたい)タイプ
「気滞」とは、気のめぐりがスムーズでなく、エネルギーが停滞している状態。気分がふさぎ、常に不安感があったり、ささいなことが気になったりして、寝付きが悪くなります。
【特徴】
□ イライラ
□ 情緒不安定
□ 不安感
□ 憂鬱感
□ 胸やのどのつまり感
□ お腹の張り
【オススメ食材】
香りのよい食材などが有効です。シソ、セロリなどの香味野菜、すだち、みかん、ゆずなどの柑橘系がオススメです。
また、飲み物で、アールグレイティーやミントティー、菊の花茶など、「呼吸が深くなって、ホッとする香り」を生活にたくさん取り入れてみてはいかがでしょうか。
神経過敏で眠れない:気逆(きぎゃく)タイプ
「気逆」とは、気が本来とは逆の方向に流れる状態。人は夜になると、気から生じる熱を鎮めることで眠ります。しかし、このタイプは気の熱を十分に鎮められず、寝つきが悪く、一旦寝ついても夜中に目覚めやすい傾向にあります。
【特徴】
□ 神経過敏
□ 怒りっぽい
□ イライラ
□ 焦燥感
□ のぼせ
□ ほてり
□ 動悸
□ げっぷ
□ 吐き気
【オススメ食材】
そば、えごま、あさつき、蕪、パクチー、パセリ、ラディッシュなど気を降ろす作用があると言われている食材がオススメです。
体力がなくて眠れない:気血両虚(きけつりょうきょ)タイプ
「気血両虚」とは、快眠のために大切な気、血が不足し、はたらきが低下している状態。ぐっすり眠るエネルギーが足りないことから、「疲れているのに眠れない」「熟睡感を得られない」といった症状が起こりがちです。
□ 全身倦怠感
□ 気力がない
□ 疲れやすい
□ 血色が悪い
□ 貧血気味
□ 食欲不振
□ 胃もたれ
□ 食後の眠気
□ 寝汗をかきやすい
【オススメ食材】
やまいも類(長芋、里芋、自然薯)、南瓜、もち米、黒ゴマ、黒豆、あさり、牡蠣、鮭、豚肉などの気や血を補う食材がオススメです。
まとめ
不眠の対処として、睡眠薬があります。睡眠薬は、脳を覚醒させるヒスタミンという成分をブロックすることで、眠りに導きます。
東洋医学では「眠ること」そのものに対処するのではなく、上記に記載した「眠りを妨げる原因」にアプローチします。
気が滞って眠れない場合は気のめぐりよくする方法、イライラして眠れない場合は、気分を落ち着かせる方法というように、不眠が起きている背景を考慮して対処していきます。
直接的に眠りを誘発しませんが、【眠れるように心身のバランスを整える】ことで自然なかたちで“良質な睡眠”へと導くことができます。
睡眠で気になることがあれば、まずはご自身がどのタイプがチェックしてオススメの食材を取りいれてみてはいかがでしょうか。
著者プロフィール
椙山女学園大学卒業後、食品原料商社にて様々な食品原料の開発に携わる。現在は、フリーランス管理栄養士として年間500人以上に栄養指導、食品添加物セミナー、企業のコラムなどを執筆。また、マクロビ・薬膳・自然療法・望診を学び、西洋・東洋の面から見た、病気にならない体づくりを研究中。
《保有資格》
管理栄養士 / 管理薬膳師 / 上級望診指導士