春の訪れ、立春のころの体調管理
年が明けたと思ったら、もう2月。寒さもピークを迎えます。
2024年の立春は、2月4日で、春の始まりです。また、1年の始まりともされています。ここから、『穀雨』までの2月、3月、4月が春です。
現実的には、まだ寒さが厳しい時季ですが、私たちの身体はゆっくりと、冬から春への準備を始めるタイミングでもあります。中国最古の医学書「黄帝内経(こうていだいけい)」では、この時季の養生によって、その後一年を健康に過ごせるのかが決まるといわれるほどなんですよ。
今回は、春の体調管理についてご紹介します。
東洋医学の視点からみる春について
東洋医学の視点から、春は五行の「木」に属し、五臓の「肝(かん)」、五志の「怒」に相当すると考えられています。万物が目吹きはじめ、木の枝や幹が上や外へ向かって伸びていくような「成長・発展」という特徴があります。
五臓の「肝」は、西洋医学のような肝臓のはたらきだけでなく、疏泄(そせつ)作用・蔵血(ぞうけつ)作用もあるとされています。
疏泄(そせつ)作用:気と言われる「体の中のエネルギーの流れ」や血(けつ)と言われる「栄養分・血液の流れ」を円滑にして、隅々まで行きわたらせる。
蔵血(ぞうけつ)作用:血を貯めておき、血液量をコントロールする。
「肝」が正常に作用することで、体の隅々に血液や栄養、気のエネルギーが滞りなくいきわたることになります。
春に現れやすい感情の「怒(ど)」は、気が上にいき、昂ぶってしまい、些細なことでもカッカ、イライラしてしまいます。
「肝」が正常に働いていると、イライラや不安などの精神的な不調は改善されていくとされています。
立春のころに現れやすい症状と「肝」の養生法
春の訪れとともに上がるのは気温だけではありません。私たちの体内でも、気血が上昇し「肝」のはたらきが活発になっていきます。
ですが、この時期は環境の変化などによるストレスや睡眠不足などで「肝」への負担が過剰になりがちな時。「肝」の働きが乱れると、目の不調や頭痛、めまい、のぼせ、イライラなど上半身に症状が出やすくなります。
いつもの生活に取り入れやすい、「肝」の働きを整える養生法をご紹介します。
のんびりと穏やかに過ごす時間を作る
一日の中で数分でも構いません。イライラしそうになったら、目をつむり、深呼吸をして落ち着きましょう
夜11時までには眠りに入る
「肝」に対応する時間帯は午前1時から3時。この時間に血液が浄化され、貯蔵されるとされています。この時間帯には熟睡できているようにしましょう
服装は上半身をやや薄着、下半身は厚着して温かく
「肝」の働きが活発になると、気血が上半身に集まりやすくなります。足腰をしっかりと温めて、下半身の冷えからくる腰痛や胃腸のトラブルを防ぎましょう
立春のころにおすすめの食材
春は、「肝の働きを助ける食材」と「血液を補う食材」、そして「滋養強壮効果がある食材」を意識した食事が大切になります。
肝の働きを助ける食材:穴子、貝類、シシトウ、セロリ、トマト、ニンジン、ピーマンなど
血液を補う食材:アサリ、イカ、カツオ、黒ゴマ、キクラゲ、ひじき、ほうれん草、ヨモギなど
滋養強壮効果がある食材:カニ、豚肉、ブリ、山芋、クコ、黒豆、卵、イチゴなど
立春のころは、上記のような食材を取りいれる事がおすすめです。
また、お酒の好きな方にはつらいですが、肝機能の低いこの時期には、アルコールは控えめにすることをおすすめします。
春のからだづくりに向けて、出来るところから取りいれてみてくださいね。
著者プロフィール
椙山女学園大学卒業後、食品原料商社にて様々な食品原料の開発に携わる。現在は、フリーランス管理栄養士として年間500人以上に栄養指導、食品添加物セミナー、企業のコラムなどを執筆。また、マクロビ・薬膳・自然療法・望診を学び、西洋・東洋の面から見た、病気にならない体づくりを研究中。
《保有資格》
管理栄養士 / 管理薬膳師 / 上級望診指導士